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フードコートにご用心

フードコート、それはちょっとした休憩に最適な憩いの場。
お腹も満たしてくれるし、少しくつろいでいくのもいいだろう。
ショッピングモールでの買い物につかれたとある姉妹も、休憩のためにそこを訪れた。
奇しくも昼時、小腹のすくタイミングである。

「お姉ちゃんお腹すいた」

「そうねぇ、ご飯にしましょうか」

妹の提案に頷き、適当な席を見つけて座る。
周囲を見回せばたくさんのファーストフード店が並んでいた。
どれもこれも人気なようで、たくさんの人だかりができている。

「どれも美味しそう」

「お姉ちゃんは、うどんにしようかな」

「それじゃ、私はラーメン!!」

それぞれ食べたいものの目星をつけると、麺類と書かれた看板の行列に並ぶ。

「列の消化も早いし、すぐに食べれそうね」

行列は大分長めではあったのだが、結構な速度で進んでいくためそれほど時間は掛かりそうにない。

「あら、もう順番来ちゃった」

なんてお思っている間にも彼女たちの順番になった。

「ゴチュウモンハ?」

彼女たちの前に姿を現したのは、ローラーの付いた機械を組み合わせて強引に人型をとらせたようなそんな何かだった。
どう見ても人間ではありえないその姿にしかし、二人は驚いた表情も見せない。
それどころか普通に質問に答えてしまっていたのだ。

「はいはーい。私ラーメン」

先に手を上げたのは妹だ。
それに頷いた製麺機憑き神は、目の前にある台に妹を押し倒した。
そして粉をばっとまぶしてから右手ののし棒で力強く、なるべく薄く伸ばし始めたのだ。
ごろごろとのし棒が数度往復すれば、妹は見事に薄くなってしまっていた。
憑き神はそれをくるくると丸めると、大きく口を開けて人のみにしてしまう。
そうすると、胴体を形成する大きなローラーが動き出した。
そこからウニョンと出てきたのは、綺麗に切りそろえられた中華麺だ。
色合いといい、どこか妹を思わせる。

「ラーメンイッチョウ!!」

それを小さなザルに入れると、隣にいるラーメン憑き神目掛けてその麺を放り投げてしまう。
それをあらあらと見送った姉は。

「私、ウドンだけど大丈夫かしら?あの子みたいにスレンダーじゃないし」

確かに姉のボディラインは非常に起伏にとんでいる。

「ソレクライノホウガこしガデルヨ」

そんな心配はいらないという憑き神の言葉にぱっと表情を明るくして。

「それじゃ、よろしくおねがいしますね」

台に自ら横になった。
それにばっと粉をまぶした憑き神はまずは両手で豊満を主張する胸をゆっくりとこね回し始めた。
力を込めて押しつぶすように、かと思えばやさしく形を整えるように。
コシのあるうどんを作るために。
粉の魔力で柔らかくなってしまっていた姉の体は徐々にその形を失っていき、丸い生地に変わっていく。

「オシリモイイダンリョク!!」

胸に続いて形の良い尻をこね回す。
同じ要領で力を込めて。
そしてやがて完全な塊となった姉に、いよいよのし棒を取り出した。
それで押しつぶすように力を込めて伸ばしていき、やがて薄い生地になってしまう。

「あ……わたし、美味しいくなります?」

まだ残っていた姉の意思の最後の言葉に。

「イイコシのウドンになるね」

憑き神はうなずいて、それをくるくると丸め上げた。
そして大きく口を開けて一のみ。
次の瞬間には製麺機のローラーが周り、綺麗に切られたうどん麺が出てくる。
コシの強いその麺をざるに上げると。

「ウドンイッチョウ!!」

そのざるを隣にいたうどん憑き神に渡すのだった。

さっと湯がかれて汁につけられた二人は、フードコートにやってきていたお客さんに美味しくいただかれましたとさ。

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