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君が戦うべき敵

「ドクター、何故です。何故あんな奴と協力なんて」

輝石を送り返した後、部屋ではダガークリスタルの一人が女=ドクターに詰め寄っていた。
それは先程彼女に向かって敵意の視線をぶつけていた少女だ。
強い意志を伺わせる瞳に、しっかりと揃えられた黒髪。
腰には一振りの刀が提げられている。
それは先刻、怪人に敗れていたディアクリスタルを助けたダガーに他ならない。

「あんな、弱くてみっともない奴なんていなくても。私たちは!!」

声を荒げる少女の唇に、ドクターは優しく人差し指を当てた。

「あなた達のことを考えてのことよ」

その指で、真っ赤な唇を優しく撫でながらドクターは言葉を続ける。
その指の動きに、目をとろんとさせながら少女は訪ね返した。

「ふふ、私はあなた達がとても可愛くて大事なの。でもね、あなた達がいくら強くても、これから戦う敵は一筋縄で行かない」

「ん……ワルサー軍団ですか」

「そう、もはやこのシティに残された唯一の大規模組織。ワルサー軍団、奴らはそう簡単に勝たせてはくれないわ」

世界最大の都市、シティ。
人類の光と闇を集めたこの都市では、不思議な事に特殊な力に目覚めるものが跡を絶たなかった。
力を得ればそれを使いたくなるのが人間というもので、それをいかなる方向に使用するかによってその性質は大きく二分されることになる。
正義と悪だ。
ヒーローと悪の組織、といったほうが正しいのかもしれない。
このシティの歴史は、そのまま正義と悪の戦いの歴史だったのだ。
始めの頃はその力を自らの思うまま、悪に利用する者が多かった。
それに対抗する正義の光は、まだまだ小さいものだったのだ。
一体どれほどの光が闇に飲まれ消えていったかわからない、しかし光は滅びることなく何度でも立ち上がって悪に戦いを挑んだ。

「でも、最近は悪の組織がどんどんなくなっていったんですよね」

「そうね、今から数年前を境にして悪の組織が急激にその数を減らしていったわ。その原因は未だに不明、それっぽい都市伝説ならいくつか聞くんだけどね」

「光の戦士の噂ですね。そんな、アニメやドラマじゃあるまいし」

「そうね。でも、火のないところに煙は立たないとも言うわ。あるいはそれが真実の一端をついているのかも。まあ、それはともかく」

徐々に統合、組織化され強大になっていく悪の組織たち。
いくつにもわかれたシティの区画で、悪の組織の影響を受けていない区画はないとまで言われていた。
そのころ特に強大な力を持っていた組織7つをあわせてビッグセブンということもある。
地中深くまで支配領域を広げ、女神の復活を行おうとした悪魔結社狂畜党。
人の尊厳を徹底的にいたぶる悪趣味な怪人たちが作り上げた享楽倶楽部。
人間を素材としか見ない加工能力をもった怪人たちが立ち上げた超時空株式会社TF加工。
他の追随を許さない圧倒的な規模でシティを支配しようとした闇銀河団。
悪による秩序を作り上げようとしたギルド。
一切表に出ることなくシティに最大の危機を招いたダークワン。
かつて正義の味方と呼ばれた者たちが悪に染まってできた7シスターズ。
これらビッグセブンを中心として、大小様々な組織が跳梁跋扈していたのだ。

「でも、この組織もヒロインたちとの戦いで敗れ、その姿を消していった」

「これほどの組織が全て数年のうちに消えていく、っていうのも不思議ですね」

「そうね、この頃から光の戦士の噂が流れ始めたことを考えると。あながち嘘ではないような気もするわね。でも、組織を失ったからと言って所属していた怪人たちが全て消えたわけではなかった、生き残った怪人たちも多く居たのよ」

寄る辺を失った怪人たち、いかに強力な力を備えていようとそれぞれが個別に行動していたのでは正義の味方たちに対抗できるはずもない。
そのためにできたのが、お互いを助けあうためのネットワークだった。
はじめは小さなネットワークだった、しかしそれがあらゆる生き残り怪人とのネットワークを作り始めるにいたってその形は大きく変わっていくことになった。
今までの戦いを生き抜いた強力無比な怪人、現代科学を超越するありとあらゆるテクノロジー。
本来集まるはずのないモノが集まった結果、そこに一つの最後にして最大の組織が出来上がったのだ。

「それが、ワルサー軍団」

「元の組織の幹部クラスだっているのに、いざこざなく綺麗にまとまってる不思議な組織ね。でも、その力はそこらの木っ端怪人でさえ普通のヒロインでは勝てないほどよ。能力や弱点の系統もばらばらで対応しずらいし……」

「でも、ドクター。私達ならどんな相手にだって遅れはとりません」

ドクターを見上げる少女の顎を優しく持ち上げて。

「そうね、私の自慢の子供たちだもの。きっと負けることはないわ」

でも、といってドクターはその赤い唇を奪った。

「んふ、でもね。万が一ってことがありえるじゃない。彼女、ディアクリスタルはあなた達を無事に勝たせるための当て馬ってところよ」

「ん……そう、なのですか……」

「そうよ、あなたの体はどこもあますところなく私のものなのだから」

そういってドクターは頬を染める少女を優しくベッドへ通し倒した。
少女はそれを受け入れ、やがて部屋に強制が響き始める。

「他の子達も呼ぶ?それとも、二人っきりがイイ?」

「あ、今日は、二人っきりがいいです」

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